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アクティブ・サーモグラフィ

1) 赤外線サーモグラフィ
赤外線サーモグラフィは、物体の表面の温度、温度変化から内部の状況を知る非破壊検査のひとつの方法です。 例えば、電気モータの加熱などは外側の温度が異常に高くなることで知ることができます。(検査例はこちら
また、発熱をしない対象物の場合は、外部から熱を加え(励起し)て行います。これをアクティブ・サーモグラフィといいます。
赤外線サーモグラフィで用いられる主な励起方法は加熱と冷却です。 加熱方式が一般的です。
加熱は輻射熱、超音波による振動エネルギー、電磁力によるもの、太陽光などがあり、冷却は自然冷却、気化熱、低音ガス吹き付けなどの手段を用います。 加熱あるいは冷却した表面の温度変化が起こりますが、その温度変化を赤外線センサーで検出し内部の状況を推定することができます。
2) 動作原理
光励起法による、動作原理を説明します。 赤い矢印は熱の流れを示しています。(Tを時間とする)
T = To

フラッシュなどで、試験体の表面を励起すると(T=To)表面の温度が瞬間に上昇します。熱は、高い方から低い方へ伝導します。 To→T1 の時間は、熱が内部に拡散していきます。しかし欠陥にまで達していませんので、表面の温度は一様です。

(a) T=To

(a) T=To

T = T1

熱がF1に達すると、仮に欠陥は割れのような空気層とすると、熱伝導率が低く熱はそこから下には伝わらないので、その部分に熱がこもる状態になります。表面@の部分の温度の変化は少なくなり、他の部分と比べて高い温度となります。この変化を、赤外線カメラで熱画像として捉えることができます。

(b)T1→T2

(b) T1→T2

T = T2

T=T2の付近で@の部分の温度はグラフのようになります。 T2からT3の間では第2の欠陥F2の表面にも同様の変化が現れます。 この様に励起後の表面の温度変化から、内部の不連続(欠陥)を検出できます。

(c)T2→T3

(c) T2→T3

T = T3

上述のような温度変化が、F3でも同じように起こります。

(d) T3以降

(d) T3以降

各部分の温度変化

各部分の温度変化
光励起方式
光励起方式には、大きく分けて3方式があります。
  • 1) パルス状の励起
  • 2) 矩形波状の励起
  • 3) 正弦波状の励起
それぞれ、対象物の大きさや熱的な特性によりいろいろな方法が用いられています。